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執筆者の写真四国ルート88

9月18日 1日目 約3km

岡山駅構内で今夜泊まる予定の2番極楽寺の宿坊に確認の電話をかけておいた。今日の目的地は極楽寺。マリンライナーに乗り換え瀬戸大橋を渡り高松駅へ。無事に四国に入れたので少しほっとした。

高松駅は大きくはないけど、明るくてきれいな駅だった。ちょうどお腹が空いてきたので飲食店を探す。改札を出ないで食事が出来るのは2ヶ所。1つはカレー屋。もう1つはうどん屋。香川といえばさぬきうどん。立ち食いのうどん屋に入る。

なんとなく最近食べたいと思っていた肉うどんがあったので注文する。目の前に置かれたうどんからの匂いが食欲を増したのと、周りのお客の食べる早さにもつられて一気にかき込んだ。味はもちろん美味しい。

満足してお店を出ると途端に胃がもたれる感じがしてきた。熱いうどんを一気に食べたせいもあるけど、緊張しているだろうから余計にこたえたらしい。味も少し濃かったかも。冷えたブラックの缶コーヒーを買って胃に流し込み、早く消化してくれ、と思いながら特急うずしおに乗り込んだ。


3両編成の1両目に乗ると、座席番号の5番以降自由席と表示されている。それより前は指定席。同じ車両の中に自由席と指定席があるのは珍しい。その指定席には6人。後ろから見ると、ほとんどの人が隣に誰か座っている。一方自由席には3人。せっかくお金を払って指定席に座っているのだから移動するのはもったいないかも、なんて考えた。僕は自由席でゆったりと過ごす。体勢も崩れ、完全に爆睡している人もいた。

 

板野駅で最後の乗り換え。だんだんと板東駅が近くなる。乗り場に行くとワンマン電車が停まっていて、運転手兼車掌さんが迎えてくれた。後ろから乗って整理券を取るように言われ、「切符なら持ってますよ。」と答えた。どちらにしても整理券は必要らしい。整理券と取るのはバスしか知らない。中に入ってみると、運転席の右上に料金の表示板あった。

板東駅に着き電車を降りる時、運転手兼車掌さんが立っていて手を出している。ここで切符を渡すと改札を出られなくなるじゃん、と無人駅の勝手が分からず困惑してしまった。

陸橋を渡って出口に向かい、駅員さんのいない改札口を不思議な感覚で通り、駅を出る。

 

さあ到着だ、と気分も新たに駅前を見渡して、1番に向かって歩き出そうとして足が止まる。どっちだ?案内地図とか“お遍路さんいらっしゃい”みたいな看板がない。歩き遍路はこの駅から1番札所に向かうんでしょ?この駅じゃなかった?といきなり不安になってしまう。

地図をリュックから取り出して、霊仙寺は真っすぐ行って左だよなぁ、とぶつぶつ言いながら歩き始める。1番まではとても長く感じた。早く着きたいと思っても足がついてこない。駅前商店街がなかなか抜けられない気がした。

 

1番札所霊仙寺の山門の前に立つ。ここが1番か。石柱に書いてある“四国第一番霊仙寺”の文字を読んで実感した。四国霊場か。なんか心にズンときた。この山門をくぐり、中に入る時はTシャツとジーンズ、出て来る時は白衣とジーンズに変わる。

 

1番札所の第一印象は、人が多い。あっち見てもこっち見ても広い境内に同じ服、白衣を着た人がいっぱい。

境内を奥まで直進して、本堂の右側にある売店で遍路用品を揃える。杖にお線香にローソク、輪袈裟や頭陀袋など。それぞれに種類もあるので時間をかけてじっくり選ぶ。

支払いをする時「歩きの人はそっちの小さい納経帳を持っていかれるよ。」と教えてもらう。見てみると自分が持っているA 4サイズのより一回り小さい納経帳があった。「これでいいんです。」と答える。なんとなくこっちの方がカッコ良く見えたし、家宝にしてずっと大切にしたいので。

それと驚いたことに、菅笠をお接待でくれるという。菅笠は大きくて荷物になりそうだし、ずっとかぶる訳でもないだろうし、そのうち必要になればその時でいいやと思って買うつもりはなかった。でも思いもよらぬ初めてのお接待。嬉しかった。

その後参拝の仕方を説明されたけど、早口でよく聞き取れないし、長くて途中で理解出来なくなった。聞き返してもう一度聞くのも面倒だな、本で読んだからまぁいいか。と思いお礼を言ってから、売り場の隅の方で白衣に袖を通す。これで遍路か。なんか照れくさい。

遍路用品を選んでいる間、脇では納経帳を何十冊も大きい鞄に詰め込んでいる人がいた。その時は何をしているのか分からなかったけど、これはバスで周る人たちの物で、添乗員が乗客みんなのものをまとめて納経する。だから大きい鞄。

本堂には次々と団体の参拝者が入ってきて、住職さんと一緒にお経をあげて出て行く。みんなここからスタートする。

本堂に戻り、ローソクに火を灯し線香を立てる。そして経本を広げて般若心経あげる。ところが左側にある団体特設コーナーからの大合唱が耳に入ってきて、自分の声に全く集中できない。般若心経は似たような字面の繰り返しが多いので、一瞬でも意識がそれるとどこを読んでいるのか分からなくなる。結局同じ場所を何度もたどってしまって、何回も般若波羅蜜多と繰り返しながら長い時間をかけて唱え終えた。そして最後にご真言。やっぱりお寺は静かな方がいい。まずは旅の無事を祈った。

 

県道を2番札所極楽寺へ向かう。何度も地図を確認し、道標や遍路シールに助けられながら無事に到着。途中では菅笠をどうやって持とうか思案した。手に持つと片手に菅笠、もう片手に杖となってしまいとても不自由になるのでリュックの側面に結んでみた。すると風や大型の車とすれ違うとあおられてしまい、飛ばされないか気になってしまう。かぶるのもなんとなく恥ずかしいし。歩きにくいなぁと、意識も散漫だった。

 

極楽寺の本堂。お経をあげて大師堂に行きかけて、お賽銭を入れ忘れたことに気が付く。まだまだぎこちない。

今日はここの宿坊に泊まる。時間があるので写真を撮りながら境内をまわった。本堂の近くには“長命杉”とよばれる立派な杉の木があった。太い縄が巻いてあり参拝者の手元まで伸ばしてある。この縄を握りながら願掛けをすると長生き出来るらしい。とりあえず掛けておいた。

そしてまだ早いかなとも思ったけど、3時半に宿坊に入った。大きい宿坊で150人泊まれるらしい。でも今夜は自分1人だけ。玄関を上がってすぐの部屋に案内され、中に入るとなんと12畳もある。ここに1人で?広すぎてなんか贅沢だな、と思った。

次は4時半からお風呂。もちろん1人で広い浴場を貸し切り。しかも温泉だと説明書きがある。初日からいろいろとツイてるなぁと、のんびりとお湯に浸かった。四国への移動の疲れを癒すと次は夕食に案内された。広い食堂の一角にある個室に通される。そしてテーブルに並べてある晩ご飯のおかずの品々をみてまたまたびっくり。8品もある。かつおのたたきもあった。聞いてみると最近は精進料理ではないそうだ。そしておひつの中にはご飯がぎっしり。これが1人分?食べきれないだろ、と思いながら食べ始めた。ちょうど喉が渇いていたのか煎茶が美味しい。煎茶をおかずにご飯を一膳食べてしまった。大きい急須に入っていたけどおかわりさせていただいた。おかずももちろんおいしく豪華な夕食だった。でもご飯は食べきれなかった。こんな食事だとお遍路しながら太ってしまう。

明日は6時半から朝のお勤め。明日からが本番。家に電話をしてから納め札を多めに書き、気がつくと9時を回っていた。5時半に起床するから寝ることにした。





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