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執筆者の写真四国ルート88

9月21日 4日目 約28km

今朝も雨、霧雨。リュックを背負うとずっしり重い。やっぱり乾いていなかった。今日からは大きいビニール袋をかぶせるようにする。濡れた山道は滑りやすく、ブレーキをかけながら気をつけて下りる。

 

4㎞くらい下りると“遍路のえき”という休憩所があった。行くと男性がいる。池端さん(30代男性世田谷区)。大日寺と長戸庵で会ってはいたけど、ゆっくりと話すのは初めて。池端さんの住まいは僕が大学生の頃に住んでいた辺り。駅が同じで驚いた。記念に菅笠をかぶっている姿を撮られる。僕も一緒に撮らせてもらう。

 

途中からは見晴らしが良く、遠くの山々や集落が良く見える。こんな高さまで登ってきたんだ、と思いながら、来た道を振り返りながら歩いた。でもしみじみと景色ばかり見てもいられない。アスファルトの道も油断すると滑る。一体この下り坂、どこまで続くんだ?と何度も思うくらい平坦にならず、ずっと坂。それに下りは膝にくる。なるべく膝に負担を掛けないように、斜めに歩いたりもした。

ガードレールやカーブミラーに貼ってある遍路シールを道標に、無事麓まで下りることが出来た。ようやく雨が上がって空も明るくなってきた。小さな商店の店先にあるベンチでマメの治療。2つ増えていた。

 

ここからは県道で割と平坦な道。下りの負担がなくなったので足の運びも軽く、歩いていることを実感しながらどんどん歩く。道の反対側で、おばあちゃんが石碑の土台に腰掛けていたのであいさつをすると、「最近息子がリストラされてあんまりお接待できん。」と言いながら、ジュース代にと120円くれた。そのまま座って話をした。「2、30年前昔に鳥取砂丘と大きい神社、何とか大社に行ったことがある。」と言われ「それは出雲大社で島根県ですよ。」と教えてあげた。いろいろ話したけど、徳島が一番いいと言っていた。

 

13番大日寺の近くになって急激に腹が減ってきた。でもすぐには店が見つからず、だいぶ歩いてやっと寿司とうどんの小さい店を見つけた。中に入ると奥村さんがいて入れ違いになる。一緒に男性がいた。田中さん(60前、枚方市)。とにかくうどんを食べて、一息いれる。

店を出るとすぐ、店の人が軽トラに乗って追いかけてきた。置き忘れたタオルを持ってきてくれた。手に持ったタオルを振り、「忘れてますよー!」と声を出しながら。とても親切な人で感動した。それにしても大切なタオル、忘れちゃいけない。反省。

 

13番大日寺で参拝して14番常楽寺へ。常楽寺の境内は〝流水岩の庭〟と呼ばれている。つまり自然のまんまでボコボコ。相当足が疲れていて、このボコボコにやたらとつまずきそうになった。

15番国分寺の手前で、道を間違えていた奥村さんと田中さんに合流。ここから一緒に16番観音寺へ進む。両側田園、直線の国道を行く。風が強い。

 

観音寺で参拝後、さて出ようかと杖立てに杖を取りに行くと、奥村さんの杖がない!「あっ!」と思って道路へ走る。さっき3人分の杖をまとめて持ってきて、杖立に立てているおばさんがいたのを思い出した。「あの3人組、まとめて持ってったかも。」それらしき車がちょうど出て来た。車を止めて事情を話しながら中を見ると、後部座席に3人分プラス奥村さんの杖を見つけた。無事に取り戻した。しかし他人の杖、しかも色が違うのに気付かないとはどういうことだ。きっと自分の杖もよく見ていないのだろう。

 

今夜は3人とも同じ宿、旅館鱗楼だった。テレビで天気予報などを観ながら、食事中は静かだった。初対面の人が2人もいて何を話したらいいのかわからなかった。ところが食後はみんなで田中さんの部屋に行き話をすることに。それでもだんだんと慣れてきて時間も遅くなり、奥村さんは先に部屋に戻った後も2人で話は続いた。仕事の事や経営者の人柄や器について話していたら、ついつい盛り上がってしまい気が付くと12時半。行き着いたのは〝素直になること〟と〝感謝の心を持つこと〟。大切なことはシンプルなんだ。



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